2と紫、薄情な好意
私の誕生日は2月2日。俗に言うゾロ目。
ちなみに誕生石はアメジスト。
だから少女もあの子も私も2が好きだったりするし、アメジストの誕生石キーホルダーとかがあると買ってたりしてた。
だけどいつからだったかしら。
段々自分の誕生日が嫌いになっていった。
どうしてかというとね、まず化け物が同じ2月生まれなの。
そして紫が好きみたい。
それであの子も私も誕生月と紫が嫌いになってしまった。
ずっとずっと嫌いだった。
(少女は消えちゃったから嫌うことはなかったけど)
あれと同じ月に生まれたなんて虫酸が走る。正直そう考えると今でも気分が悪い。
あれが好きな紫の宝石なんて身に付けたくない。あれと同じ誕生石なら、尚更。
そして極めつけ。
あの人も同じ2月生まれだった。しかも22日とゾロ目。
私はもう自分の誕生日が大嫌いになった。
(あの子は別れる前に消えたから嫌うことはなかったけど)
2という数字も嫌いになった。
カレンダーを見るのが嫌になった。
紫の物を避け続けた。
けれど数年経って私の感情は変わることが出来た。
化け物から距離を置くことが出来たのが一番大きいかも知れない。
今でも呪縛は続いているし、どちらかが死ぬまで一生逃れられないことには変わりないのだけど、それでもここ暫くは気配を感じることすらなくなった。
お陰で少しずつ紫が好きになっていった。
未だに原色の紫は抵抗があるのだけど薄いラベンダーカラーや赤紫はメイクやファッションに取り入れられるようになった。
雑誌や画面の向こうにいる女の子が「可愛い」と紹介する紫に対して、私も素直に「可愛い」と思えるようになれたのが嬉しかった。
フォロワーさんやいつもお世話になっている好きな人達のお陰で誕生日も嫌いじゃなくなった。
2月生まれって割といるものね。
同じ誕生月の人が何人もいた。
フォロワーさんなんてまさかのあの人と同じ22日生まれだった。
お陰でその日にもゾロ目であることにも嫌悪感を抱くことはなくなった。
だってその日は私の好きなフォロワーさんの誕生日なんだから。
先輩も1人、同じ月がいた。
誕生月を聞かれて、「あ、同じ」って言われて。
それだけなんだけど、凄く嬉しかったなあ。
自分の誕生日、2という数字、紫色。
ずっとずっと大嫌いだったの。
何年も嫌いで、これからもずっと嫌悪していくのだと思ってた。
そんな私の感情を変えてくれてありがとう。
本人達には心底どうでも良いことでしょうし、知ったこっちゃないことなんでしょうけど、感謝の気持ちでいっぱいなの。
私ひとりじゃどうすることも出来ないものだったから。
本当に、本当に、ありがとう。
嫌いなものを減らしてくれて。
好きでいさせてくれて。
本当にありがとうね。
私が好きになった人は不幸になりやがて私を嫌っていくから、私が今抱えているこの好きは偽りに近い薄っぺらくて脆いものでしかないんだけど。
これ以上好きにはならないから安心してね。
貴方達を不幸になんてさせたくないから。
決して無理強いはしないわ。
でも、こんな薄情な好意を持ち続ける私を許してくれたら嬉しいな。
身体だけが憶えている
私の短所は心配性。
性格の短所は大体それくらい。
大切になればなる程、不安で不安で仕方がなくなってしまう。
今も治そうとはしているけれど、治る見込みがまるでない。
その原因を突き詰めると私が生まれるずっとずっと昔に遡る──
この身体には歳の近い姉がいた。
この身体と同じ、化け物と人間の子供。
其奴はこの身体以上に体が弱くて、家よりも病室で過ごすことが多かったらしい。
そんな奴故に中学を迎える前に医療ミスによる症状の悪化で死んだそうな。
この身体に物心がつく前の話。
いつも其奴の傍にいたらしい。
どんな時も常にベッタリで片時も離れなかったとか。
確かに幼少期の写真を見返した時いつも隣に其奴がいた。
けれど私にはその一切の記憶がない。
其奴を何と呼んでいたのか、どんな話をしたのか、どんな想いで傍にいたのか。
写真を見なければ其奴がどんな顔をしているのかさえわからなかった。
ただ。
私が生まれて間もない頃、あの子は其奴に会いたいと泣いていた日があった。
あの子も私と同様、其奴のことなんて何も覚えていないはずなのに。
ただ無性に存在も定かではない"お姉ちゃん"に縋りついていた。
私もふと其奴のことを考える時がある。
今となっては其奴にも嫌悪が強く出て会いたいと淋しがることはないが(寧ろ死んでくれてありがとう、ざまあみろとすら思う)
同時によく考える。
ずっと隣にはいられないと。
例えお互いが離れようと思わなくても、片時も離れなかったとしても、血が繋がっていようとも。
別れは突然やってくる。
どんな者とどんな形で繋がっていようが結局は独りになってしまうのだ。
……嗚呼、だからかな。
お互いの気持ちも環境も関係も無視して不安が募ってしまうのは。
今この瞬間に嫌われてしまうかも知れない、目を離した隙に死んでしまうかも知れない、何か強い力によって引き裂かれてしまうかも知れない。
──だってずっと傍にいたはずだった血の繋がっている其奴とはもう二度と会うことが出来ないのだから。
其奴の名前も覚えてない。
其奴の顔も覚えてない。
其奴の声も覚えてない。
だけど身体だけが憶えている。
突然の別れ。哀しみ、苦しみ、恐怖、絶望を。
これは本当に治る見込みがない。
だって身体が記憶していることを放棄するのは不可能だ。
自転車の乗り方を今すぐ忘れろと言ったって無理なのと同じ。
きっとこれはトラウマの一種。
長い時間をかけて忘れていくしかない。
だけどその長い時間の中で私は何度も体験し上書きしていくのだろう。
そして今度は私の中にも、ハッキリと刻み込まれていく。
突然の別れ。哀しみ、苦しみ、恐怖、絶望を。
どうやら参ってません、大丈夫です
一ヶ月前のツイート、「やっぱり、というかまあたぶんって感じなんだけど、精神的に参ってるんだろうなあって自覚した。バイトの記事終わったらブログにメモっとこ。」の内容です。
この一ヶ月メモすらしてなかったっていう。
別に忘れてたわけじゃないわよ。一応常に頭の片隅にはあった。習慣の忘却によってどんどん忘れていっちゃうから早く書かなきゃなあとは思ってた。
ただまあ、時間と体力がなかったというわけでして。
──兎に角本題に入りましょう。そして早く締めましょう。既に体力がやばい。
Twitterのフォロワーさんになら(というか他に日々の私を知る人がいない)わかると思う話なんですがね。
見ての通り、今の私って元気そうじゃないですか。最近のツイートなんか「女の子にシャンパン入れたいぐへへへ」みたいなことばっかだし。記憶を片っ端から消去してくという防衛方法も会得したのでメンタルが常にプラマイゼロで安定してるんですよね。
しかもガルバのバイトを始めたお陰でほぼ毎日対人モードという比較的テンション高い状態でいるんですよ。だから余計に元気に見えるというね。
だから私も大丈夫大丈夫ーとは思ってるんですけど、というか今もそう思わなきゃいけないので思ってるんですけど。
で、ここから一ヶ月前に遡るわけですよ。
その日はワンコ君がうちの子のケージを取りに私のお家へ来たんですよ。ケージの方は重いしデカいしで運ぶの断念したんですけど。
まあ普通に色んなことを駄べるじゃないですか。世間話やら趣味の話やら近況報告やら。
その流れで彼が言い出したんですよ、「iQOS吸ってみたい」って。
そりゃあ私は驚きましたよ。だってバリバリの喫煙者である私が居候してた一年以上の中でずっと薦めてたのにも関わらず、「始めたらたぶんやめられなくなるから絶対やらない」って断固拒否していたワンコ君が言い出したんですよ?? 驚きません??
驚きつつも喜びつつ、どうしてかを聞いたんです。
そうしたら「飲み会で友達からiQOS薦められてちょっと吸ったらハマった」って。
へぇーそうなんだー、うちプルームテックあるけど吸う? どう美味しい? 気に入った? ならあげるよ。あと色違いでiQOS買おう。
そんな感じであっという間にワンコ君が喫煙者になりました。
何なら私が普段吸ってて今まで彼が断固拒否していた紙煙草も一本勧めたらあっさり吸って気に入ってました。流石に電子煙草だけにするとは言ってましたけど。
仲間が増えて喜ぶべきなんでしょうけど、実際喜んだんですけど、正直この時こう思いましたね。「吸うんじゃねえか」って。
あんなに拒絶してたのに友達から薦められたら吸うんだ、そして絶対やらないとか抜かしてたのに始めるんだ、って。
私がどれだけ言っても駄目だったのに。
冗談交じりにそう言ったら「昔一回吸ってハマりそうになったからそこから禁煙してたんだよ」と返してきた。
え、それ初耳なんだけど。一切聞いてないんだけど。あとそれなら余計に友達のも断れば良かったじゃない。何断りもせずに始めてすらいるのよ。
まあ流石にそこまでは追及しませんでした。笑ってその話はお終いにしときました。
そして次。
最近ワンコ君が女の子の後輩と良い雰囲気になったらしいです。相手の努力も虚しく、結局手を出す気にはなれずにキス終いとなって相手は実家に帰っちゃったらしいのですが。
なんだ、あんなに私以外周りに女の子いないとか言ったわりに結構やってんじゃん。そんな熱烈にアタックされるくらいならすぐに彼女出来るよ。その童貞さなくせば。女の子と関わる機会充分あるし、そんな謙遜しなくて良いのに。
「あーあ、後輩ちゃん可哀想〜」と弄り倒すだけにしときました。
読んでる貴方、クソどうでも良いと思いましたね? 奇遇ですね、私もそう思ってます。
本当にクソどうでも良いことなんですよ。後半の話とか特に。
喫煙仲間が増えたやったあ、ぷぷぷ後輩ちゃん可哀想ーで済む話なんです。普段の私ならそれだけで済んでたんです。
その時の私(というか今の私)の脳内はそれ等の感想以上の疎外感に埋め尽くされ、ひねくれた思考ばかりしてしまってるのです。
この時の感情といったらもう……周りに誰もいなかったら涙腺が仕事放棄し出すくらいのもんですよ。
何なら近況報告で彼から髪切ったこと以外何も変わったことないって聞いた時、「無理だって言われたから無理矢理働き出して引越したのに結局そっちは引越してないし(仕方ないとはわかってるけど)、なんでそっちは何も変わってないの? 私は毎日こんな思いしてるのに、なんで」と思いました。口にしてないけど。耐えたけど。
「花火一緒にやりたいね」「ねー(クジでたまたま当てちゃって処理に困ってるだけじゃん)(他にやる人がいないだけでしょ)(どうせやらないくせに)」
「花火出来る所探しとくよ」「わーい、楽しみー(探さないくせに)(そんなもん見つからない)(見つけられたって忘れてる)」
「花火以外にもさ、今度どっか行こ」「うんうん、行こー(私といたって楽しまないじゃん)(誘いもしないのに)(どうせ何処にも行かない)」
こういう考えが無意識のうちにどんどん生まれてくるんです。しかも全て事実だから「そんなことないよ」なんて誤魔化しも効かないんです。「そんなこと考えるなんて最低だな」と自分を責めることしか出来ません。
こんなクソみたいな内容だから相談することも出来ません。
相談なんてしたら「俺のこと嫌いならそう言えよ」とか「嫌なら関わらなきゃ良いのに」とか言われるだけなのが目に見えているので。
別に嫌いでもなきゃ嫌がってるわけでもないんですよ。確かに関わらなきゃ良いには越したことないんですけど。
ただそれ以上に先のことが見えてしまって辛くなるんです。
正直そういう風にずっと扱って私に刷り込みをしてきたお前等も悪いんじゃないかと少しばかり思うくらいです。
マスくんに対してもそうです。彼に対する正論が全てひねくれていてネガティブなんですよ。その上ワンコ君みたいに何かしてくれたりする素振りすら一切ないので疲れさえ出てきました。
まあ元々人間関係どころか全てに疲れてるんですが。
人間も社会も何もかもが信じられないんですよね。
まあ当たり前ですよね。こんな人生なんですから。化け物なんだから。
ははっ、こう書いてる時点で既に辛くなってきた。ウケる。
明日が来てほしくない。今すぐ死んだ方が良い。でもそんなことをしたら周りに迷惑が掛かってしまう。我慢しなきゃ、我慢しなきゃ。
──嗚呼、まただ。また始まってしまった。
でも大丈夫です。すぐに忘れますから。パニックを起こす前に、何かやってしまわぬように、抑えて抑えて我慢し続けて、落ち着いた頃に何事もなかったかの様に全て忘れてプラマイゼロの状態に戻るんです。
最近じゃこの間はTwitterも開きません。だから本当に酷い時は呟かなくなりました。お陰でネット上でも私は常に元気になりました。
でも今の状態をふと思い出すんです。忘れられるようになったとはいえ、正確にいえばただ心の奥底に封じ込んで見て見ぬ振りするだけなので。本当にそんな都合良く忘れられるわけがないでしょう。
結局のところ溜め込んでるだけ。そして何も解消も解決も改善もしていない。そのせいで脆くなりつつあります。
だから私自身でさえ本来気にしないような些細なことでも崩れてしまいそうになるんです。
嗚呼でも大丈夫です。大丈夫ですよ。すぐに直りますから。もうすぐ死ねるという唯一の希望に縋って何度でも元に戻ります。
だから大丈夫です。心配なんてしなくて良いです。
感情も本音も、題名だって塗り替えてやりましょう。
ほら、貴方がお前が望んだ私ですよ。
喜べよ。
新しいバイトの始まり
※前回の記事の続きです
翌日、再びB店へとやってきた私。
「失礼しまーす……」
未だ不慣れさを感じながら扉を開けると本当に昨日とは別のボーイさん(店長より偉い人らしい)が出迎えてくれた。女の子(可愛い)も1人、既に待機していた。
余談だけど昨日いたボーイさんがB店の店長らしい。嘘でしょ。
しかもA店の店長より年上らしい。嘘でしょ(失礼)
結果として、3時間半仕事体験を行った。
何故3時間でも4時間でもない中途半端な時間かというと、簡単に言えば滅茶苦茶飲まされたからである。
お客さんと一緒に飲んで駄弁る仕事なだけあって、多少飲まされることもあるというのは覚悟していた。
しかしA店もB店も(というか大体のガールズバーは)お酒が飲めない子にも配慮してくれている。
従業員用の飲み物に "フェイク"というものがあるらしい。その名の通り、お酒のフェイクだ。
緑茶ハイを頼まれれば「緑茶」と「水」、レモンサワーを頼まれれば「レモンシロップ」と「炭酸水」といったように、お客さんにバレないようアルコール回避ドリンクを作るのだ。
ただ、シャンパン等の直接瓶の中身を共有するような物はフェイクが出来ないので注意が必要である(A店では一口二口だけ頼まれて飲んだ)
そんな訳で当然、A店でもB店でもフェイクを用意してくれたし、自分も作った。
……ところが。
「ショット飲んだことないならコカレロにしとこっか」
「え。あ、はい」
先にいた女の子にそう勧められて頷くしかなかった。可愛い先輩からの指示とお客さんが目の前にいる手前、「いや無理です」なんて言えるわけがない。
気が付けば目の前には緑と薄黄色の二層の液体が入ったショットグラスが置かれていた。
──こんなことになったのはB店のある特徴があったからだ。
ある特徴というのは、店内に多数の娯楽が備えられていることである。スナックやバーにありそうなやつはあるといった感じ。この娯楽設備を利用すれば会話が途切れて間が持たなくなっても何とかなるし、ゲームの勝敗によってお酒を追加注文させることも出来る。
……この後者のせいでこんなことになった訳だ。
まあ、何回も勝負して今まで負けを回避出来ていただけ凄いのだが。
「コカレロ初めてだっけ。ちょっと上の液舐めてみて」
「は、はい」
言われるがまま緑の液体を少し舐めてみる。焼酎やテキーラ程キツい匂いも味もしないが美味しいというわけでもない。
「……大丈夫そう?」
──コンマ1秒程考え、私は笑顔を作った。
「大丈夫です!」
だから断れる訳がない。飲むという道しか私には残されてないのだ。そう腹を決めて私は体に悪そうな二層の液体を一気に喉奥へと流し込んだ。
「……本当に飲みやすいですね?」
「だよねー!」
そう盛り上がる先輩は既にコカレロを3杯は飲んでいた。
もしかしたらあの緑はメロンシロップなのかも知れない。
そんな風に思えたのはほんの数分程だった。
いつもの酩酊状態が訪れた。足取りが悪くなる、血液の巡回を感じる、眠い。ふと見た腕が赤かったことから相当の酔いがまわっているのだと理解した。
「ガチ(の酒)じゃねえか!」と心の中で突っ込んだ。ちなみにコカレロのアルコール度数は29度。ほろ酔い1缶で寝てる私が飲んで良い代物じゃない。
──嗚呼もう、どうにでもなれ。
早々に諦めがついた私はお酒の酔いじゃ変わらないテンションを無理矢理上げた。
結果として私はコカレロを4,5杯、テキーラショットを1杯飲み、先輩はその倍を飲んだ。
滅茶苦茶眠かったし足取りもふらふらと危うかったが何とか理性と根性で耐えた。偉い。先輩の方はもう完全に出来上がっていた。
そんな私達を見兼ねたのか、ボーイさんが30分早めに仕事体験を切り上げてくれた。「初日からごめんね」「いつもはあんなじゃないんだけど」と何か凄い謝られた。
いつの間に来ていたもう1人の先輩(可愛い)には「別にフェイクで良かったのに〜」と気を使われた。フェイク出来たんかい。
とにかく、こうして何とかB店の仕事体験も無事(?)終えることが出来た。
こっちでのお給料は8700円(バックが2600円)+チップ(なんてのが本当にあるのね)1000円で合計9700円と派遣やカラオケバイトの日給を悠々と超える金額となった。
これが決定打となり、店長に怯えつつもB店で働くことにした私。
(店長の催促LINEに反射的に既読付けてしまった焦りでOKしたのがデカいけど)
バイトとして本格的に働き始めた結果、今のところは特に大きなストレスもなく何とかやっている。
というか可愛い女の子と飲み物片手に駄弁るという状況が癒しとなって多少のストレスが秒で浄化されている始末だ。正に「可愛いは正義」である。
これなら短期でやる分には充分問題ないだろう。
……店側に問題がなければの話だが。
そんなこんなで始まったガールズバーでのバイト。
予定では大体3ヶ月くらいは続けるつもりです。
週3日で働いて、週3日のカラオケバイトを少しずつ減らしていって、そちらを辞めた際には週4日か週5日で働こうと思っています。
良かったら来てね(絶対場所教えないけど)
来たら私指名してね(絶対場所教えないけど)
そして沢山飲んでね(絶対場所教えないけど)
完璧な男の人が苦手
※B店体験編、昨日の続きです
当日、様子見の為A店の時同様に早めに向かう。
……いや場所、近場どころかご近所さんじゃねえか。
そりゃ仲良くもなるわ。
という訳で人通りと客の出入りはA店と全く同じだった。
出迎えてくれたボーイさんの三言目の台詞が「この前A店行ってたんだよね?」
情報まわるのはっや。仲良しかよ。
ボーイさん曰く、私がこの前の仕事体験をする前にA店ボーイとの話で私が両方の応募してたことを知ったらしい。
A店で別のガールズバーの仕事体験も応募したと言ったらすぐに「もしかしてB店でしょ」と聞き返されたのはそういうことか。もしかして、じゃないじゃん。もう知ってんじゃないの。
B店のボーイさんも陽キャという感じだった。れでぃせでぃごーの煙草吸ってる人と同じベクトルのイケメン。画面越しでならキャピキャピ言えてた。せめて液晶越しで見たかった。
……ボーイという職業はある程度顔が整ってないと駄目なのだろうか。
そんなことないか。
A店のボーイさんは仕事サボってそう(失礼)な雰囲気があったので親しみを持ててたのだが(失礼)、こっちのボーイさんは「イケメン」「仕事出来るしちゃんとやる(イメージ)」「優しい」と三拍子揃っていて私にとってもう、もう……
……恐怖の対象でしかなかった。
──小学校低学年の頃、隣の席に「イケメン」「勉強も運動も出来るしちゃんとやる」「優しい」男の子がいた。
頭が良く、足が速くてサッカーが上手く、一、二を争う程のモテ男子でありながら、私が教科書を忘れた時には嫌な顔ひとつせず進んで見せてくれたくらい優しい完璧少年だ。
恋愛感情を持つことはなかったが勿論当時の私はその子に対して恐怖は持ち合わせていなかった。
そんなある日、その子は教室の隅で静かに佇んでいた。
ただ、誰かと喧嘩でもしたのか、その子は明らかに機嫌が悪かった。遠く離れた私の席からでも怒りのオーラが伝わってくる程だ。
男女共に好かれていて、何でも出来て、心優しいあの男の子が、何故あんなに怒っているのか。
そんなギャップのせいなのだろうか。
怒りの原因に全く検討をつけれないからだろうか。
とにかく私はあの時の男の子を見て異常な程の恐怖を覚えた。
そして以降、似た条件の男の人がすっかり苦手になってしまったのだった──
──顔が引き攣っていたのか、上手く喋れなかったのか、「なんか怯えてない?」と言われてしまった。
すぐさま「いえ! 全然!」と答えたが説得力は皆無だったことだろう。
そして客の数と来る予定の女の子の数によって仕事体験は翌日に変更となった。
「明日は俺他の所行っちゃって別の人が担当になるんだけど」のひと言で少し安心してしまった。
それどころか翌日に変更になったことにより、今日はもう帰れるというので既に安心してしまっている。
此処は駄目かも知れない、と思い始めていた。
登る階段の数がB店の方が多いし、来て早々に虫出るし、カウンター席以外に何かテーブル席あるし(キャバクラみたいな接客しなきゃいけないのか?)。
この時点で内心ではもう殆どA店の方を選んでいた。
しかし給料面の話をされた時に迷いが生じた。
ドリンクやシャンパンを頼まれた時のボーナス料がこちらの方が高いのかも知れない。
この前の仕事体験のお給料を話したらボーイさんも何か違和感を感じたのだ。そしてうちの店、B店の方が高く付くよと言っていた。
まあ同じガールズバーとはいえ違う店舗だし、仲良しとはいえ業務のことはあまり話してくれないらしいので実際のところはどうなのか知り得ないのだが。
ドリンクボーナスの他にも指名ボーナスというのもあるらしく、それ等を駆使出来れば1日に5万は稼げると言っていた。
そのお店で 1番稼げる子は繁忙期の時、月に100万以上稼いだらしい(すご)。
その辺はA店はどうなのだろうか。ボーナス料が少なかったり、そもそもボーナスがないとかだったら明らかにB店の方が稼げるということになる。
今私は生活に余裕を持たせる分以外に引越しや北海道に行く為の資金が欲しいところ。そう考えるとB店の方が良いような気もしてきた。他の条件はすぐ辞めると思えば全然許容範囲だ。
とりあえず明日の仕事体験を終えてから色々考えよう。
※次の記事へと続く
動物カフェの動物になってみよう、みたいなね
ここ1ヶ月、一切派遣に行っていない。
予約を入れ(たく)ない。予約を入れても仕事がない。いつも行っていた所にはたぶん見限られた。
正直、朝起きるの辛いし面倒な人がいるし仕事出来ない私にリーダー任せてくるしと色々全く合っていないのでそれで良いやと思っている。
が、当然ながらお金が無い。
結局家賃払ってない。
(まあ後日請求書が来るからその時に払おう)
生活費ギリギリ。
今月は平気そうだけどこのままじゃ最低限の生活も出来なくなる。
冬までは何とかしなければいけない。
という訳で新しいバイト先を探すことにした2週間前。
「日払い、週払い」「短期」「バイト」で検索した。
派遣は却下、飲食店等のバイトも却下。
警備のバイトを保留しながら、バーチャルアバター(何かアプリがあるらしい)のバイトとウェブライターのバイトを応募して落ちた。
(携帯が最新iPhoneなら受かってそのまま在宅ワーク出来たのに)
そんな中で見つけた、ガールズバーのバイト。
以前の職場でガールズバーで働いたことがある人がいた。その人が言うにはその職場の倍は稼げてたという。
けれど最近フォロワーさんが風俗は稼げないと言っていた。
さて、どうしたものか……日払いと短期の項目は満たしているし募集してるくらいなら稼げないことはないのかも知れない。
というかやっぱり給料が良い。
単純思考によってガールズバーのみにした私はとりあえずA店とB店の2つの仕事体験を予約した。
A店の仕事体験の1週間後にB店の仕事体験となった。
最初の仕事体験の日が来る数日間のうちにのんびりとA店B店とガールズバーについて調べる。
まず、A店とB店の情報が殆どなかった。マップアプリじゃどちらも表示されないし、A店に関してはお店の情報もバイト募集のサイトでしかろくに出てこなかった。
近くにあるお店が人気店ばかりだからだろうか。
……大丈夫なのかしら、このお店。
ガールズバー自体は特に可もなく不可もなくといった感じの情報だった。
キャバクラよりは直接的なセクハラもないし(カウンター越しだから手が届かない)、格好も殆どの店では自由な私服で良いとのこと。今のバイト先や以前の職場、派遣先みたいにタイツストッキング縛りや長ズボンスニーカー縛りをしなくて良いということだ。
それにキャバクラみたいなランキング争い(?)がない分女の子同士で仲が悪いといったことがないらしい。特段仲が良くなるというわけでもないらしいが、そこが良い。付かず離れずくらいが丁度良いのだ。
飲み物を片手に猫を見て癒される。気に入られる言動が出来ればおやつや玩具を買ってもらえる。引っ掻いたり威嚇したりしない限り、手を伸ばされたら逃げても良い。
せいぜい違いは人と違って猫はどんな子も物凄く可愛いということだ。
仕事体験はそんな猫の体験の様にも思えた。
そんなこんなでA店の仕事体験の日が来た。
服装や髪型は一切規定がなく、本当に自由で良いらしい。
好きな格好が出来るのは凄く有難かった。
しかしあまりにも情報が少なかったので全く期待せずに行った。
この時の私は最悪速攻で帰るかモグリの振りをするかしようとでも思っていた。
わざと数十分早めに行って店前の様子見。平日なのと狭めの路地にあるせいで人通りが少なく、店に入ってくる人は全くいなかった。
やっぱり売れない店なのかと思いながら時間通りに入店した。
ボーイさんの方は良い人そう。陰キャにも普通に接してくれそうなノリの良い陽キャという感じの人だった。
他には誰もいなかったが1時間もすれば2人女の子が来るとのことだった。
なんとA店とB店は仲良しこよしらしい。なんてこったパンナコッタ。
店同士が近場で他が有名店ばかりだったらそりゃあ仲良くもなるのかと受け止めておくことにした。
こうして2時間の仕事体験が始まった。
仕事内容に関して、お酒作りは今昔のバイト先で習ったものが殆どだったので物の位置さえ覚えられれば問題なく出来た。
全然お客が来ないので店前で呼び込みを任された。
好きに携帯弄ってて良いとのことだったので「キャッチ やり方」で適当に調べる。が、無視されても気にしないようにとかどうでも良いことしか書かれてなかったのですぐ閉じた。
今までの人間観察を頼りにお金を持ってて暇そうでまともな感じの人に声を掛けることにした。
半袖半ズボンサンダルはコンビニに行くくらいの人なのでスルー、イヤホンをして一切周りに視線を向けない人は私と同じガン無視勢なのでスルー、自転車に乗ってる人は止まってくれないのでスルー、早歩きで時計を見ている人はこれから用事の人なのでスルー、女の人は当然スルー。
ただでさえ人通りが少ないのに声を掛けれそうな人が全然来ない。何とか1人に声を掛けたがやっぱりスルーされた。
それなりに時間が過ぎたらしくお店の女の子2人のうち1人が来た。滅茶苦茶可愛かった。
そのすぐ後にサラリーマン2人が通りかかった。何処かに向かう訳でもない、身嗜み普通の人達。
すかさず声を掛けたら驚くことにお店に来てくれた。
わたわたしながら案内したらさっきの女の子は驚いた様子をしながらも助けてくれた。私も物凄く驚いていた。たぶん女の子よりも私が驚いた。
序盤ボーイさんが助け、後半は後に来たもう1人の女の子(可愛い)に助けてもらいながら先程釣れた二人組の相手をした。
そしてすぐに釣れた理由が判明した。
単にこのお店の店長とその父親なだけだった。お店に行こうとした時にたまたま私に声を掛けられたのでそのまま入店したと笑っていた。
通りで上手くいってシャンパンまで頼んでくれた訳だ。いくらなんでも初っ端からこんな順調にいくはずないもの。
女の子の話題の出し方に感心しつつ、必死に愛想を振り撒いてるうちに仕事体験が終わった。
バックヤードで労いの言葉とお給料を受け取り、帰宅。
初めてのガールズバーは思ったよりも悪くなかった。
とはいえ相手が店長とその父親だったからそう思えただけの可能性が非常に高い。
個人評価をすると、会話自体はともかく話題提供がダメダメだった。真面目なキャラでやったとはいえノリも微妙だ。
あの2人の女の子を参考にしつつ、トークの術を勉強するしかないなと思った。
セクハラ云々の点は発言以外は全く問題なさそうだった。
本当にカウンター越しだったので物理的に不可能に近かった。
(狭いので後ろに誰かいると届くかも知れないが)
その為、正直今のバイト先よりもマシ。というか今のバイト先の方が(ただのカラオケなのに)客から触られるくらいだ。
その他お店の雰囲気、ボーイさんや女の子も今のところ良かったのでもう此処で良いんじゃないかとさえ思えてきた(投げやり)
受け取ったお給料は三千と数百円。
時給が最低1500円らしいので時給的にはこんなものかといった感じ。
ただ、シャンパンが入ったのにボーナスが数百円しかないのはどういうことだろうか。
別にドリンクも貰ったからもう少しあってもおかしくないのに。仕事体験だからだろうか。
まあ良い。その辺はB店の時に比べて調べてみよう。
猫カフェの猫は悪くないのかも知れない。
次のお店も見ないと何とも言えないけれど。
B店の仕事体験は来週だっけ。
予定を確認しながら、「猫の様な愛らしい容姿があればもっと良かったんだろうな」と人の形をした私は静かに溜め息を吐いた。
※次の記事、B店体験編へ続く
黒
普段と変わらぬ姿で扉を開けた。
カツカツと踵を鳴らして歩く私に訝しげな視線を送る人達。人々は皆ガスマスクを被っていて、例外なのは私ひとりだった。
皆必死に逃れようとしてる。
けれど気付かないのか。
視界いっぱいに写る真黒いモヤに。その黒はいつだって変わらず渦巻いているというのに。皆には見えないのか。
本当に気付かないのか。
気体となって喉を埋め窒息させることも、液体となって肺に入り込み溺れさせることも、個体となって心臓を貫かれることもあるその黒に。
もう手遅れなんだよ、今更ガスマスクなんて着けたって。黒の形状を変えるだけに過ぎないのだから。
幸福な選択なのかも知れないとわかっているけれど、本当に見えない振りをすることが正しいのだろうか。
皆が本当は何から逃れたいのかが、私には全く見えないわ。